実践行動学研究所の小学生向けプログラムの開発は2012年に始まりました。
当初のコンセプトは、“子どもたちに夢と志のある人生を~”というものでしたので、初期の教材原稿は「充実した人生を送るために夢と志を持とう!」というような内容でした。
それが現在の形になったのには、2つのきっかけがありました。
ひとつは、開発の初期段階に塾業界のカリスマ講師 木下晴弘先生にご意見を伺ったときにいただいた言葉です。
木下先生は、こんな一言を漏らしました。
―「夢のある子は素晴らしくて、夢のない子は素晴らしくない。子どもがそんなふうに受け取ったら、辛い子も出てくるやろなぁ…」
確かに、早い時期に夢を持てば幸せになれるのかといったら、そんなことはありません。それに夢を持つことが目的になると、とりあえず1つ職業を選んでそれを夢だと言ってしまう子も出てくるでしょう。
私たちが伝えたいのは「今、夢を持て!」ということではなく、将来どうしても実現したい夢が立ち現れたときに、それを実現するために力強く行動できる人になって欲しいということなのです。
ふたつめのきっかけは、プログラムを商品化するための実証実験の中にありました。
子どもの反応は正直なもので、課題点がいくつも見つかりました。その中で私がもっとも衝撃を受けたのは、正解が分からないことはやろうとしないということでした。失敗することを過度に警戒し、「まずやってみよう」ではなく、「教わっていないからできません」という姿勢でワークに臨む子どもの姿をどれだけ見て来たことか…
当時は本当に困ったものですが、その一方で、これこそがコンセプトの核になるのでは?というヒントが見つかりました。
夢や志を追いかけるということは、不確実なことにチャレンジし続けるということです。だったらこのプログラムで、その訓練を行ったらいいということに気づいたのです。
その後、参加した子どもや親御さんから、続々と「自分の考えを話すようになった」「失敗には意味があると思った」「自信がついてきた」等々の声が聞かれ、プログラムの効果を実感しました。
では、そのプログラムの効果を一言で表現すると…???
悩んでいたときに出会ったのが『レジリエンス』という言葉です。 ―そうなんです!
“レジリエンスを育てる”というコンセプトは、私たちが失敗を重ねながら試行錯誤の末に辿り着いた、私たち自身の『夢と志』なのです。
今、私たちは「自発的に挑戦する子どもで溢れた社会をつくる」をビジョンに掲げ、この活動を広げています。