先週末、私が暮らす新潟市からご依頼を受け、子育て中の方々向けのワークショップを実施させていただきました。
まだ暑かった頃の打合せで決まったテーマは、“子どもがのびのび育つ家庭のつくり方”。
最初は講演をして欲しいというオーダーでしたが、私なんぞの話よりみんなで知恵を出し合った方が何百倍もいいと思い、「ワークショップ形式でもよければ」という条件でお引き受けしました。
「さてさて、のびのび育つ家庭のつくり方かぁ…、どんなデザインで行こうかな?」と考えた末、対話セッションを2回に分けてやることに。
1回目は初めての人にも話しやすいように、私が立てた4つの問いから同じものを選んだ者同士でグループに分かれて対話。続く2回目は参加者の方々から話してみたい問いを出してもらうことにしました。もちろんどのグループに入るかも自由。
こんな感じで全体のおおよその流れは決めておき、後半は場の声を聴いて設えるプランで臨みました。
こういうやり方は先が読めないので、「よくそんなふうにできますね」と言われたりしますが、逆に「最後にどうなるかが分かっているワークショップって面白くなくね?」と聞き返したくなります。
とはいえ小心者の私。正直に言うと不安はあります、もちろん。
ただの世間話になったら困るなぁとか、誰も問いを出さなくてチーーーン…みたいな空気になったらどうしようとか。
お引き受けした以上、それなりのアウトプットを出す責任もありますしね。
今日はそんな気の小さい私でもオープンな場を創れるポイントをこっそり公開しちゃいます。
まず1つめのポイントは、最初にこちらの意図をしっかり伝えること。
なぜこのようなプログラムデザインにしたのか、参加者に何を持って帰ってほしいのか、という意図や背景をしっかり言葉にします。“何をやるのか”を伝えるだけでなく、“なぜやるのか”が伝わることが目標です。“なぜ”のレベルで伝わると、たとえ初対面でも一緒に場をつくる味方になってくれます。
これはやろうと思えば誰にでもできますから、やらないのはもったいないです。
2つめのポイントは、プランBを準備しておくこと。
セットアップをいくらがんばっても、それが功を奏するとは限りません。なので、まずいな~と思ったときの方向転換先を予め考えておきます。これがあるとないとでは、心の余裕が大違い。
なかなか話が弾まなそうなら身体を動かすゲームを間に挟んでみようとか、参加者から問いが出ないときは、1回目の対話の問いを生かしてメンバーをシャッフルしてやってみよう、とか。
ここはある程度の知識と経験が必要な部分かも知れませんので参考程度に。
そして、一番パワフルなのが3つめのポイント。
集まった人を信頼すると決めておくこと。
場をつくるファシリテーターが「この人たちにはムリだわ」などと思い始めたら、意義深い時間になるわけがありません。ファシリテーターの感情はその場全体に伝染するので、そんな空気の中で何をやってもムダ。私が参加者ならそんなファシリテーターはまっぴらごめんです。
このことは「腹決めする胆力が勝負!」みたいに聞こえますが、私の感覚的にはもう少しライトな感じで、「力を合わせれば何とかなるっしょ!」くらいの遊び心が大事かなと思います。
さて、子育てセミナーはどうなったでしょうか?
たくさんの幼児~大学生のお母様、お父様ととおじい様各1名、前回講師の大学准教授の方、そして興味があるおじさん1人もなぜか参加。笑
多様な面々での実施となりました。
誘惑に負けて前半の対話を深掘った結果、「5分休憩です。その間に後半どうするかを考えます~汗」みたいになりましたけど、、、
「始まった時には想像もつかなかった深いところまで到達した気分です」という感想をいただくような、響き合う対話になりました。
帰り際に感謝の言葉を伝えてくれる方がいたりして、私にとっても素敵な1日になりました。めでたしめでたし。 (文:大原)