アドラー心理学では、人間の行動は過去の原因によって決められるのではなく、未来の目的によって決められるという「目的論」を唱えています。
ですから、子どもが問題行動を起こす理由についても、“こういう原因があったから”とは考えず、“こういう目的があるから”と考えます。
アドラーは、問題行動の目的を5段階に分けて考えていますが、これがヒジョ~に興味深いので、簡単にご紹介させていただきます。
段階が進むほど深刻度が増していき、第4段階からは専門家の手助けが必要になるそうです。
●第1段階 「称賛の欲求」
最初の段階は、「ほめて欲しい」という欲求です。
ほめられるようなことをして特別な存在になって、『特権的な立場を獲得する』というのが真の目的だそうです。
ほめられたいのだから悪いことはしないはずですが、問題は起こります。
『いいことをしたいのではなく、ほめられることをしたい』と思っているからです。
これは裏を返すと、ほめてもらえなければ適切な行動をとる必要はないし、叱られなければ不適切な行動をとっても構わないという考え方になります。
だからアドラーは、「ほめてもいけない・叱ってもいけない」と言ったんですね。
「じゃあ、どうすればいいの?」
ということですが、アドラーはこのように言っています。
「ほめられるようなことをしなくても、あなたには価値がある」ということを伝えるのが大事だと。
そうです、「存在承認」が大事なんですね。
●第2段階「注目喚起」
せっかくいいことをしても褒められない、またはほめられることができない場合、子どもは違う目的で特別な存在になろうとします。
それは、ほめられなくてもいいから、「とにかく目立ちたい」です。
(私にも心当たりがあるような、ないような。笑)
悪いことをしたいわけではなく、ただ目立ちたいだけ。
いたずらをしたり、わざと忘れ物をしたり。
「何でもいいから“特別な私”になりたいっ!」というわけです。
たとえ悪さをしたとしても、なんだか可愛いげがありますよね。笑
この段階までは、対処はそれほど難しくないそうです。
第一段階と同様、「特別にならなくても大丈夫、そのままのあなたで十分価値があるよ」と繰り返し伝えるのが一番だそうです。
存在承認のパワーのすごさを感じますね~。
でも、なかなか日頃の関わりでは、存在以外のことに目が向きがちです。
だいたい、こんな感じの承認が多いのではないでしょうか。
「100点取ってエライね~」 「売り上げ目標達成、すごいじゃないか!」
これが、結果承認。
「よくがんばったね~」
これが、行動承認。
これらの承認が悪いというわけではありません。
でも、存在承認という土台がないと、「結果を出さなければ愛されない」とか、「努力しないと受け入れてもらえない」というメッセージを伝えていることにもなるのです。
ときには意識をして、存在承認をしてみることをお薦めします。
「○○ちゃんが生まれてきてくれて、うれしいわぁ」
「きみがいてくれるだけで、本当に心強いよ」
こんなこと言われたら、本当にうれしいですよね。
さて、次はいよいよ第3段階です。
ここからがタイヘンなんです。 めちゃ、怖くなってきます。
~次号に続く。 (文:大原)
※参考文献:幸せになる勇気 / 岸見 一郎、古賀 史健 (ダイヤモンド社)