10月の対話会のテーマは「傾聴」でした。
言葉からの情報を聴き取る「言語傾聴」と、言葉の奥に潜んだその人の感情や真意を聴き取る「感情傾聴」に挑戦してみよう!
という体験ワークを行いました。
トータルで1時間という短い会なので、どうしても慌ただしくなってしまいますが、それでも参加された皆さんは各々の気づきを持ち帰ってくれたようでホッとしています。
そして、後日いただいた参加者アンケートにこのような内容がありました。(原文ママ)
話者の話の内容を、メモも取らないで後で要約できるように聞き取ることと、話者がどんな気持ちで話しているかを表情や仕草、雰囲気を心で捉えようと共感しながら聞くことを両立させるのが「真の傾聴」であるのかなぁと思ったが、とてもそんなことはできそうにない!と分かった。
この両立については大原さんの言及は無かった。
上記、2種類の傾聴について、その関係性と傾聴の実際場面での適用について、次回解説をお願いしたい。(Kさん)
「とてもそんなことはできそうにない!」というところが特に好きです。笑
強い実感の伴うこのような気づきは、体験したからこそ得られるものです。
例えば私が、講義形式で伝えたとしても、ここまでリアルな気づきは決して生まれませんもんね。
また、私の言及(解説)がなかったことにも触れています。
それもそのはず。
だって、私も正解は知りません。笑
でも、せっかくの素晴らしい質問なので、今日は実際場面での傾聴の仕方について、私なりの考えを述べてみようと思います。
まずはじめに、「言語と感情の両方を同時に傾聴することはできそうにない!」というKさんの心の声に全面的に賛同します。
ステレオタイプの意見かもしれませんが、男性は課題解決志向が強いため、情報に焦点を当てた言語傾聴になりがちです。
一方、女性は共感性が強いので、感情傾聴になりがちな傾向があります。
ただ寄り添ってほしくて話している相手に「そんなことで悩んでないでこうすればいい」とか言って険悪になった経験をした男性陣は少なくないのでは?(私も経験あり)
では私が、実際場面での傾聴のポイントをどう考えているかというと、それは『焦点の当てどころを自覚的に選択して聴く』ということです。
全てを同時に聴き取ることは無理なので、そのとき必要だと思う方向に意識のアンテナをスッと向ける感覚です。
でも実は、これもなかなか厄介です。
いつの間にか焦点がぼやけて来て、何となく聞いている状態に落ちてしまいます。いつも、必ず、です。
だから傾聴で大事なのは、「あ、今焦点がぼんやりしてる!」という、傾聴できていない自分に気づくこと。そして、いち早く傾聴モードに立ち戻ること。
そんなふうに思っています。
トレーニング方法ですが、話の節目に合いの手を入れる練習が効果的です。
感情に寄り沿う傾聴を得意にしたいならば、「あなたの話から~な気持ちが伝わってくるよ」という合いの手を。
情報を正確に理解する傾聴を得意にしたいなら、「ここまでのお話は、これこれこういう意味で合ってますか?」と確認する合いの手を。
節目節目で話し手に言葉を伝え返すという具体的な行動は、意識を持続しやすくする仕組みになります。
これを習慣化すると、自分の聞き方の癖に気づくことができ、自覚的な聴き方が身についてきます。
p.s.
ちなみに私は、コーチング・セッション中は9:1くらいの比重で感情を聴いています。問題解決するのはクライアント本人なので、コーチには事柄情報はあまり必要ないんですね。ときには「説明しなくていいから」と言うこともあります。
(文:大原)