あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い致します!
さて早速、2021年1本目のColorful Timesをお送りします。
今日は、今読んでいる本でとても驚いたことがあったので、それをシェアしようと思います。「ワークショップ」という本の冒頭にこんなことが書いてありました。
まずはご一読を。
「ワークショップ」は、日本でもこの10年くらいの間に演劇や美術などの芸術分野、環境教育や国際理解教育、企業研修など、学校教育や社会教育の枠をはるかに越えて様々な分野で広がっている。
環境、教育、社会不安、人権、平和、経済不況、どれをとっても問題が複雑かつ広く絡みあっていて、単一の原因がはっきりあるわけではない。明快な唯一の解決策もない。ひとつの正解や確かな道を示せる専門家などありえない時代だからこそ、集いあい、問いあうことが大切だ。
ワークショップは、これまでのパラダイムの転換を迫られている私たちの社会の行き詰まりを打開する、ひとつの希望の道ともいえよう。
学校教育や社会教育はもとより、創造的な活路が求められているビジネスの世界、福祉やまちづくりなどの課題に取り組む行政・自治体の現場など、社会の様々な分野で、もっともっとワークショップ的な学び方や合意形成、創造の方法が活用されていいはずだ。
ワークショップは、人と人の関係を豊かにし、人と自然の関係を取り戻し、人と社会の関係も健全にすることで、現代の課題である「持続可能な社会」を創ることにも通じる。
またIT革命の波が押し寄せているが、デジタル上でのコミュニケーションが、必ずしも生身の人間のコミュニケーションの深化にはつながっていない問題も指摘されている。
ワークショップには、人を通して自分に出会う喜びがある。情報化時代が落としていきかねない、生身の人と人のコミュニケーションを深める重要な役割も担う。
※「ワークショップ」/中野民夫著(岩波新書) より抜粋、一部編集を加えました。
いかがでしょうか?
VUCA・教育改革・SDGs・IT革命で引き起こされる課題など、まさに今の時代を象徴する問題点をつまびらかに指摘しています。そして、これらの問題解決に「ワークショップ」がとても有効であることが綴られています。
でもコレ、特に驚くような内容ではないですよね。
私がビックリしたのは、これが20年も前に書かれたということです。
「ワークショップ」の初版は、2001年!!
VUCAやSDGsのことが20年も前に、こんなにはっきりと語られていたなんて!
ていうか、20年経ってもこれらの問題はぜんぜん解決できてないじゃん!
それどころか「持続可能な社会」なんて、一層深刻さを増してるじゃんよ!
新年早々、そんなことを考えさせられました。
一方、教育現場へのワークショップ的な学びは、徐々にですけど導入されるようになりました。
少し前にアクティブラーニングという言葉が脚光を浴びましたよね。
そう、脚光を浴びました。
・・・今、どうなっているのかな? (コロナも収まってないしなぁ…)
残念なことに、今もワークショップのような主体的な学びよりも、“新しい知識を教えて所定の問題を解けるようにさせること”の方が重視されているのは、変わっていないように思います。(まあ、それも大事なのは分かりますけど)
先の著書で、中野民夫先生(現東京工業大学教授)は、こう仰っています。
ワークショップは、説教臭くない・楽しい・わくわくする・感動と出会いがある・希望と勇気を生み出す・安らぎや癒しもある・創造と喜びがある。
そんな素晴らしい手法がうまく活用されていないのは、本当にもったいないことです。
2021年、コロナ渦の真っ只中ではありますが、いやこんなときだからこそ、人と人とが繋がり、学び合うワークショップの素晴らしさを、微力ながらも伝えていく1年にしようと思います。 (文:大原)