ネイティブ・アメリカンに伝わる『子育て四訓』というものがあります。
乳児はしっかり肌を離すな
幼児は肌を離せ、手を離すな
少年は手を離せ、目を離すな
青年は目を離せ、心を離すな
子どもに自立を促すステップがすっきりとまとめられています。
企業ではもうすぐ新入社員を迎え入れる時期になりますが、人材育成にも通じる教えです。そういう立場の人は、子どもを新人と読み変えて見ると参考になると思います。
ただし、新人は成人していますので、「膚を離すな」は割愛してください。
セクハラで訴えられますから。
子育て四訓を見ると、親や指導者の仕事は子どもを離していくことだと気づきます。
教育の目標は「学習者の自立」なので、私たちが先を見通した意図を持って関わることが大事なんですね。
でも、それってなかなか難しい…
まずもって離すことには勇気が要ります。
「今離してもこの子は大丈夫だろうか?」と思ってみたり、
「結果責任は親である私が取ることになる」と思ってみたり。
離すべきときに離さないのは過保護で、離してはいけないときに離せば放任。
子どもの成長の早さはそれぞれなので、離すタイミングの見極めに正解はありません。
でも子どものニーズを聴き取れば、ヒントは得られます。
「抱っこして~」なら膚を離すな、
「下ろして~」になったら膚を離す、
「好きにさせて~」となったら手を離す、
「1人にしてくれ~」となったら目を離す。
最後まで心は離さない、というところがイカシテます。
目を離すべき年頃になると、「授業参観とか体育祭とか見に来なくていい」などと言われて寂しい思いもします。(by実体験)
ところで、塾や学校の先生は、子どもの自立のチャンスを奪わないように気をつけなくてはいけません。
特に塾の先生は子どもの手助けをすることで対価をいただいているという意識があるので、ついつい過剰に手を出してしまいがちです。
何ならそれをウリにもしています。
いまや学校の先生も聖職者というより、サービス業という感じがする時代なので、あまり変わらないような気もしますが。(個人的感想です。先生方、怒らないでね)
長く塾人として働いていた身として、私にも反省しなくちゃならないことが多いです。
そして今思うのは、子どもと接するスタンスを3つのステップに分けるといいのかな、ということです。
最初はHelp(助ける)から始め、徐々にAssist(手伝う)へと移行、そして最後はSupport(支える)。
このスタンスを意図的に取って関わること。
H→A→Sの順番が大事なので、『自立のHAS理論』です。
(思いつきで命名)笑
“意図的に”というのが、親や指導者のリーダーシップによる部分です。
あなたは普段、どんなスタンスで子どもと接していますか?
(文:大原)