「うちの子が言うことを聞かないので、先生からひとこと言ってもらえませんか?」
メルマガをお読みの保護者の皆さん、こんな相談を先生にしたことはありますか?
相談されたことのある先生は、どう対応されましたか?
私は以前、よく相談されましたが、今振り返るとうまく対応できていなかった
なぁと思います。
いただいた要望をそのまま受け取って、それに応える。
あの頃はそれが仕事だと思っていたんですね。
私も若かった。笑
「授業後にお話しておきましたよ」と報告の電話をかけては、「ありがとうございます~」とか言ってもらったりして。
でも結局、それで問題が解決することはほとんどなかったと思います。
今考えたら、当たり前なんですけどね。
*以後、仮にお母さんが相談者という設定で話を進めます。
「子どもがお母さんの言うことを聞かない」
これは先生に解決できる問題ではありません。
なぜならば、問題は子どもにあるのではなく、お母さんと子どもの間にあるからです。
子どもに問題があるわけではないので、第三者が子どもにアプローチをしても効果がないのは当たり前です。
その子は友だちの言うことは聞くし、私(先生)の言うこともそれなりに聞く。
でもお母さんの言うことは聞かない。
それはつまり、相手によって応答を選択的に変えているということです。
(すでにお気づきと思いますが、誰もが皆、相手によって応答を変えていますよね)
お母さんの言うこと”は”聞きたくないのですから、2人の関係性を改善しなければ、何も変わることはありません。
このとき、お母さんが子どもに「言うことを聞きなさい」と言ったらどうなるか?
「あんたの言うことなんか聞くものか」と思っているわけですから、逆効果にしかなりません。
また、先生が「お母さんの言うことは聞かなくちゃだめだぞ」と言ったらどうなるか?
表面的には「分かりました」と言うかもしれませんが、おそらく態度が変わることはないでしょう。
つまり解決するには、状況を変えたいと思っているお母さん自身が変わるしかないのです。
でも、相談をしてくれたお母さんに、「その問題を解決するのは、私ではなくあなた自身です」と伝えるのはなかなか勇気が要ります。
私は今も、きっと言えないでしょう。笑
それこそ信頼関係ができていなければ、「はぁ?私が悪いって言うんですか?」と、怒りを買ってしまうかもしれません。
もしも今、私がそのような相談を受けたら、
「それがお子さんのためになるならば、喜んでひとこと言わせていただきます。
でも、あの子がそうするには何か原因があるはずです。
そこが変わらなければ、根本的な解決にはなりません。
もしよろしければ、一緒に解決策を考えてみませんか?」
という対応を取りたいと思います。
「ハイ分かりました。私が話しましょう」と請け負うのでもなく、「それはお母さん自身で何とかすべきです」と突き返すのでもない。
「一緒に解決していきませんか?」という協働的な態度が大事だなと思います。
そうすれば、お母さんも子どもも先生も、みんなが成長できるきっかけになるのではないでしょうか。
なんか、ヒジョ~に真面目な記事になっちゃった。笑
(文:大原)