夏本番はすぐそこ。夏と言えばセミ。
みなさん、セミの成虫が地上でどれくらい生きられるかご存知でしょうか?
セミは長~い間地中で過ごし、成虫になると地上へと出てきます。
でも地上での寿命はたったの1週間。
セミの一生は、儚さの代名詞として使われるほど短い。
今まで誰もがそう信じて来ましたよね?
ところが、どうやら本当は違うらしいのです!
しかも、それを発見したのが高校3年生というから驚きです。
(最近のニュースなので、目にした方も多いかもしれません)
「セミは地上に出てから1週間程度しか生きられないというのは俗説で、実は1カ月くらい生きている」
これを証明したのは、笠岡高3年生の植松くんです。
彼の調査成果は「中四国地区生物系三学会」で最優秀賞を受賞しました。
驚くべきは、セミの寿命の調査を思い立った動機と、その調査方法です。
調査のきっかけは、「1週間しか生きられないのに、夏の間に死骸を見かけることが少ないのはなぜか?」という疑問だったそうです。
言われてみれば、確かに真夏の間はセミの死骸をあまり見ない気がします。
でも普通は気にもしないし、仮に疑問に思っても自分で解明しようなんて思いません。誰もその方法を知らないわけですし。
しかし、植松くんは「セミの寿命、本当は長いんじゃね?」という仮説のもと、その解明に乗り出したのです。
彼のとった方法を知って、またビックリ!
・まずセミを捕まえて、羽に油性ペンで番号をマーキングして放す
・後日、再捕獲を試みて、その個体の生存日数を記録する
という、地道な事この上ないものでした。
探究者の骨太な強さを感じずにはいられません。
彼は2016年の7月中旬から9月中旬にかけて、ほぼ毎日この調査を繰り返しました。
その結果、合計863匹のセミにマーキング。15匹の再捕獲と4匹の再再捕獲に成功。そして、アブラゼミ、ツクツクボウシ、クマゼミの3種で10日以上の生存を確認。
最長生存記録はアブラゼミが32日間、ツクツクボウシが26日間、クマゼミが15日間という結果を得たのです。
植松くんは、このような独自の調査方法で自らの疑問の答えを導き出し、セミの寿命が言われているほど短くないことを証明して見せたのです。
※参考:山陽新聞digital(2019年06月19日 11時29分 更新記事)
さて、私が「植松くんスゴイ!」と思ったのは、21世紀型スキルの中でもとりわけ重要な次のチカラです。
(1)疑問を持つチカラ
(2)疑問を自らの考えと行動で解決しようとする姿勢
(3)探究と行動をし続ける持続力
これらのチカラの原動力は、彼の並外れた「好奇心」に由来しているといってよいでしょう。
好奇心こそが、学びの最大の原動力です。
子どもたちの学ぶチカラを伸ばしたいのなら、対象がどんなものであろうと、本人の好奇心を尊重し、「Yes,and!」の姿勢で接することが大切です。
子どものやる気を引き出すことができるのは、「そんなことばっかりやってないで勉強しなさい!」という Noでbutな関わり方をする大人でなく、「それは面白いね!こっちの勉強も面白いよ!」という”Yes,and!”な大人です。
人は、自分を受け入れてくれた人にのみ、心のトビラを開くのですから。
…ということは分かっているのですが、言うほど簡単なことじゃない。
私の場合、ゲームに対する好奇心だけは、どうしても丸ごと受け取れないんですよね~。何とかほどほどに話は合わせてますけど。汗
今回は、一人の高校生から好奇心の大切さを学んだというお話でした。
(文:大原)