10月にあるNPOのイベントでパパママ向けの傾聴セミナーを実施させていただきましたが、今月は働く若者向けのセミナーのご依頼をいただきました。わいわい学び合う場が好きなので、今から楽しみです。
さて先日、市の担当の方との打ち合わせでこんな会話がありました。
私:以前はワークショップじゃなくて講演のご依頼をよくいただいてたんですよね。
担当者:え~、意外です。大原さんはワークショップのイメージしかないので。で、どんなお話をされてたんですか?
私:一番多かったのは、親御さん向けの「子どものやる気を引き出す関わり方」みたいなテーマでしたね。
・・・という感じで、打合せそっちのけで話し始めたらかなり盛り上がったので、今日は“やる気”のお話です。笑
ご存じの方も多いと思いますが、やる気というのは内発的動機付けと外発的動機付けの2種類に分けられます。
「内発的動機付け」というのは文字通り、心の内側から湧いてくるやる気のこと。
私はフライフィッシングが趣味で、シーズンの休日はめちゃくちゃ早起きして釣りに出かけます。誰に言われたわけでもなくやる気満々で。笑
こういうのが内発的動機付けです。
一方、「外発的動機付け」は外部要因によるやる気のこと。
その代表格が「ご褒美」による動機付けです。
あまり仕事に熱心でない人に「業績目標を達成したら特別ボーナス10万円!」と言ったら急にがんばり出した、みたいなやつ。
さて、ここで質問です。
あなたはお子さんや部下に、内発と外発のどちらのやる気を持ってほしいですか?
・・・そうですよね、「内発」の方ですよね。いちいちご褒美をあげないとやる気を出さないなんて、ねぇ。
ボーナスの例で分かるように、手っ取り早くやる気になってほしいときは外発的アプローチがとても便利、というか内発の方は一朝一夕にはいきませんから。
だから結果を急ぐときは、ついつい・・・
けど、ご褒美作戦にはとんでもない落とし穴があるので注意が必要です!!
【落とし穴1】やる気が長続きしない
一般的に外発的動機付けには持続性がなく、短時間で冷めてしまうことが知られています。
【落とし穴2】大きくしていかないと効果が薄れる
最初は100円のお小遣いで済んでいても、それが当たり前になると200円、500円と増額しないとやる気を引き出せなくなります。
そして、もっとも大きな問題が次です。
【落とし穴3】外発は内発的動機付けを抑圧する
どういうことかというと、例えば勉強に対してご褒美をあげると、勉強そのものへの興味関心が薄れていくということです。もともと学ぶ意欲があった子が、ご褒美をあげることによって目的がすり替わり、「ご褒美がもらえないならやる気がしない」と思うようになる。・・・怖いと思いませんか?
また見方を変えると、ご褒美は次のようなメッセージとなって伝わることもあります。
勉強ってつまらないよね。イヤだよね。そんなイヤなことをよく我慢してやったね。
だからご褒美をあげる。
これでは、「勉強が好きな人なんていないよ」という暗示をかけているようなものです。
だから外発的動機付けを利用するときは、細心の注意が必要です。
最後に、内発的動機付けを抑圧しないご褒美のあげ方をお伝えしておきますね。
それはズバリ、「サプラーイズ!!!」です。
「ママは、○○ちゃんががんばっていると、とっても元気をもらえるの。だからどうぞ!」(子どもはビックリ、喜ぶ)という感じです。
要は「ご褒美と交換条件だからがんばる」という気持ちを起こさせないやり方を心がけて、ご褒美の目的化が起こらないようにすることが重要です。
(文:大原)